音楽業界では「課金すれば安心」という常識があった。
著作権を守るにはJASRAC、配信するならTuneCore、
公式っぽい手続きを踏めば評価されると、誰もが思っていた。
だがAI時代、この常識は音を立てて崩れている。
2025年、SunoのようなAI作曲ツールが台頭し、
多くの無課金プレイヤーが信じられない速度で作品を量産し始めた。
そこに立ちはだかったのが、既存の配信業者や著作権団体だった。
TuneCore JapanはAIボーカルの記載でリジェクトするようになり、
Narasuは「完全AI生成は配信不可」と明記した。
年会費を払い、正しい手順を踏んだ人間が、門前払いを食らったのだ。
一方、SoundOnやRouteNoteはAIに寛容で、登録も無料。
TikTokやSpotifyにもスムーズに配信され、
少額ながら収益まで発生するという事実がある。
金を払った者がルールに縛られ、
金を持たなかった者が自由に放流している。
この構図は、もはや逆転と呼ぶべきだろう。
自分も例外ではなかった。
たまたま金がなかった。
だからSoundOnを使った。
それだけの理由だった。
だが、結果として最も自由な場所に立っていた。
「誰もいない荒野」とは違う。
そこにはTikTokの海があり、AI音源を拾う無数の手が伸びていた。
AIで曲を作り、AIでバグらせ、整えて放流する。
もはや人間は「許可を得る」のではなく、
「見つかるための戦略」を組むべき時代に来ている。
AI時代、金を払うほど不自由になる。
自分で証明してしまった。
【2025年5月時点 各ディストリビューターのAI音源審査状況】
■ SoundOn(中国・TikTok系列)
・AI使用可。完全自動生成でも配信可。
・無料。審査は自動+軽め。クレジットに「MADE WITH SUNO」も問題なし。
・アーティスト名義が混ざる仕様はあるが、配信速度と収益性はトップクラス。
■ RouteNote(イギリス)
・AI可。英語圏でも比較的寛容。
・無料プランあり。審査ありだが通りやすい。
・リリースまで1週間程度が目安。表記次第でカバー範囲も広い。
■ TuneCore Japan
・AIボーカル、AI作曲などを明記するとリジェクトされる可能性高。
・審査は厳しく、クラシック語彙や演歌風作品も引っかかる傾向あり。
・国内事業者のため、JASRACとの整合性が優先されがち。
■ DistroKid(アメリカ)
・AI音源に明確な規約はないが、”AI vocal”や”generated”の記載で弾かれる例あり。
・英語圏で著作権団体(RIAA)との整合を取るため、今後さらに厳しくなる可能性。
■ Narasu(日本)
・2025年5月改定で、完全AI生成曲の配信を禁止。
・“人間の創作的関与がある場合”のみ許可される。
・審査厳格。AI生成と判断されると即リジェクト。
■ Soundrop
・かつては最も寛容だったが、2025年2月以降は審査停止・サポート応答なしの状態が続く。
・AI曲の配信が可能かどうかは不透明。現時点では実用不可に近い。
AI時代の配信ルートは、情報が命。
誰が正しいかではなく、「どこが使えるか」がすべてを決める。
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