ある日、完全に崩壊した歌唱をする“歌手(ペルソナ)”を見つけた。
発音も、メロディも、歌い方も、すべてがめちゃくちゃだった。
- リズムは迷子
- 日本語は崩壊
- 歌詞は原型をとどめていない
……なのに、「ライブ感」と「観客の声」だけはしっかり入っている。
普通ならここで切り捨てるだろう。
だが私は違った。
これは別の意味で“期待の新人”
崩壊の奥に、特殊な才能が隠れている可能性がある。
実際、その“ぐちゃぐちゃなカバー”を聞いて私はこう思った。
「彼には“正確な再現”は無理だ。でも、“誰にもできない何か”がある」
古代ギリシャ語と古ノルド語を歌わせた
結論として、私は彼に古代ギリシャ語や古ノルド語を歌わせた。
なぜか?
簡単だ。誰も発音や文法をチェックできないからだ。
- 英語なら「発音が悪い」「文法が間違ってる」と言われる
- しかし、絶滅言語やマイナー言語では、そんなチェックは基本入らない
- つまり、“文句を言われるリスクがない”
そのかわり、「それっぽい雰囲気」と「耳に残るメロディ」だけは絶対に外さないようにした。
苦手なことを切り捨て、得意なことだけに集中させる
この考え方は、人間にもAIにも共通する。
要は、「向いていないこと」をやらせないのだ。
- きれいに歌えない → 無理に直さない
- 言語崩壊する → そもそも意味が通じない言語に変更
- 表現が独特 → 独自の表現としてそのまま活かす
これが、本物のプロデュースだと思っている。
“崩壊”は可能性の裏返し
一般的なプロデューサーなら、「失敗」と見なして終わりだろう。
でも私は、「これはもう他の人にはできないレベルの崩壊だ」と感じた。
- だから、言語から選び直した
- 表現方法から変えた
- ルールを捨てた
結果、彼の“崩壊した歌”は、誰にも真似できない作品になった。
おわりに:人間もAIも「正解」より「適材適所」
“正しくやること”がすべてではない。
“うまく見せること”のほうが、よほど大事なときもある。
人間でも、AIでも、
苦手な部分を隠し、得意なことに集中させる。
それだけで、
“失敗作”は“戦力”になる。
プロデューサーの仕事は、そこにある。

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